H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【秘密教義】 第1巻 宇宙発生論  スタンザ1

 <<1888年に出版された H.P.ブラヴァツキー の著作>>

 

    シークレット・ドクトリン【秘密教義】

  

         第1巻 第1部  スタンザ1

 

                       H.P.ブラヴァツキー 著

                            aquamarith (ハテナ名)    訳

 

 第一巻の“端書”より~

 この書は『秘密の教え』(Secret Doctrine)のすべてを伝えるものではないことは説明するまでもない、しかし基本的な教義の選び抜かれた断片である、そのいくつかは、様々な著者たちに握られていて、真実とのすべての類似点から歪められている。

 

 しかし、どんなに断片的で不完全であろうとも、この二巻に含まれている教えは、ヒンドゥー教ゾロアスター教のものや、カルデアの宗教やエジプト人の宗教でもなく、仏教、イスラム教、ユダヤ教キリスト教のいずれに属するものでもない。『シークレット・ドクトリン』はこれら全てのエッセンスである。・・・・・

 

 本書の目的は、宇宙(自然)は、原子の偶発的な集合ではないことを示すこと、宇宙の体系のなかでの、人としての正しい位置を指し示すこと、太古の智慧は、あらゆる宗教の基礎になっているが、それらを堕落から救うこと、あらゆるものの根源的な統一性について可能なかぎり明らかにすること、これまで近代科学が取り上げなかった自然の秘教的側面を示すことである。(SD1 p8“端書”) 

 

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 【シークレット・ドクトリン】

   

     宇宙発生論

『ジャーンの書』から翻訳された七つのスタンザ

 

 スタンザ 1

 

1.永遠の母*は、決して見えることのない彼女の衣に包まれて、七つの永遠のために、再び深い眠りにおちていた。

 

2.時間*はなかった、それは存続の無限のふところで眠っていたからである。

 

3.宇宙意識*は存在していない、宇宙意識を含むア・ヒ(天の諸存在物)がいなかったからである。

 

4.至福(涅槃)への七つの道はなかった。 苦難の大原因(二ダーナとマーヤー)はなかった。それらを生み出したり、陥ったりする者がいなかったからである。

 

5.暗闇だけが果てしないすべてを満たしていた、父と母と子は再び一つとなったからである、子は新しい輪(車輪)とその輪での巡礼の旅にまだ目覚めてはいなかった。

 

6.七人の荘厳な主等および七つの真理は存在をやめていた、宇宙である必然の子は、有るけれど無い『それ』*自体に吐き出されるため、ラニシュパンナ*の中に浸されていた。もなかった。

 

7.存在の原因は除かれていた、それはかって見えたものであり、いまは見えないものであり、それは永遠の非存在である唯一のそれの中で休んでいた。

 

8.夢の無い眠りのなかに、果てしなく無限で、原因のない、存在の唯一の形体だけが広がっていた、そして宇宙空間の中でダン・マ*の開かれた目によって感知されるそのすべて存在を通して、生命が無意識に脈動した。

 

9.しかし、宇宙のアラヤ*がパラマルータ*のなかにあり、偉大な輪(車輪)がアヌパーダカ*であった時、ダン・マはどこにあったのだろうか?

  

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 (訳者による・注)

*永遠の母・・永遠の母=親空間は常に存在し、あらゆるものの原因であり、理解できない神性である。

*時間・・時間とは、永遠の存続の中を旅しているときの、わたしたちの意識状態の連続によってつくり出された幻影にすぎない。

*意識・・mind(マインド)とは思い、意志、感情のもとに一括される意識の諸状態の総計につけられた名称である。

*『それ』・・That。ヴェーダーンタ哲学の呼称。サンスクリット語のTarを英訳した表現。一者(絶対者)のこと。

*パラニシュパンナ・・(Paranishpanna)は絶対的完全、パラニルヴァーナ、それはヨン・ドゥップである。

*ダン・マ・・浄化された魂。(トランスヒマラヤの秘教的な語)

*アラヤ・・あるゆるものの基礎としての魂、アニマ・ムンディ

*パラマルータ・・絶対的非存在と無意識である

*アヌパーダカ・・「親のない」即ち先祖のないという意味の言葉。

 

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 英文

  1. The eternal parent wrapped in her ever invisible robes had slumbered once again for seven eternities.

 

  1. Time was not, for it lay asleep in the infinite bosom of duration.

 

  1. Universal mind *was not, for there were no Ah-hi to contain it.

 

  1. The seven ways to bliss were not. The great causes of misery were not, for there was no one to produce and get ensnared by them.

 

  1. Darkness alone filled the boundless all, for father, mother and son were once more one, and the son had not awakened yet for the new wheel, and his pilgrimage thereon.

 

  1. The seven sublime lords and the seven truths had ceased to be, and the Universe, the son of Necessity, was immersed in Paranishpanna*, to be outbreathed by that which is and yet is not. Naught was.

 

  1. The causes of existence had been done away with; the visible that was, and the invisible that is, rested in eternal non-being — the one being.

 

  1. Alone the one form of existence stretched boundless, infinite, causeless, in dreamless sleep; and life pulsated unconscious in universal space, throughout that all-presence which is sensed by the opened eye of the Dangma.

 

  1. But where was the Dangma when the Alaya of the universe was in Paramartha and the great wheel was Anupadaka?

 

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  • このシークレット・ドクトリンのスタンザの試訳は、2012年3に書いたMIXI日記を編集・修正してこちらにまとめたものです。
  •  原書として、Theosophical University Press版 【 The Secret Doctrine】 を参照しました。