H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【秘密教義】 第1巻 宇宙発生論  スタンザ2

   <<1888年に出版された H.P.ブラヴァツキー の著作>>

 

       シークレット・ドクトリン【秘密教義】 

 

 

         第1巻 第1部  スタンザ2

 

                          H.P.ブラヴァツキー 著

                                                         aquamarith (ハテナ名)    訳

                   

 

  分化の概念

 

1....建設者たち、すなわちマンヴァンタラ*の夜明けの輝かしい子たちは、どこにいたのか? ... 彼らのア・ヒ的*ラニシュパンナ*の未知の暗黒の中に、無形-体すなわち世界の根から形体を作る者、デーヴァマートリ*とスヴァバヴァット*は非-存在と呼ばれる無上の喜びの中で休息していた。

 

2. ... 沈黙は、どこにあったのか? 沈黙を感じる耳はどこにあるのか? いや、沈黙も音もなかった、自らを知らぬ、絶え間のない永遠の息以外何もなかった。

 

3. 時間はまだ生じていなかった、 光線**は胚種のなかにはまだ閃めかなかった。マートリパドマ(母なる蓮華)*はまだ膨らまなかった。

 

4. 彼女のハート(心臓)は、一つの光線が入るためには、まだ開かれていなかった、それから、三つが四つになるように、マーヤー(幻影)*の膝の中に落ちていく。

 

5. 七名の子は、光の網からまだ生まれていなかった。暗黒だけが、父-母であり、スヴァバヴァット(抽象的宇宙物質)だった。スヴァバヴァットは暗黒のなかにあった。

 

6. これら二つは胚種であるが胚種はひとつである。宇宙はまだ神聖な思いと神聖な胸の中に隠されていた. . . .

 

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 (訳者による・注)

*マンヴァンタラ・・・顕現期。アイオーンと同義。休息期をプララヤ(Pralaya)と言い、マンヴァンタラとプララヤは交互にくりかえす。

*ア・ヒ的・・・(チョーハン的、ディヤーニ・ブッダ的)ディヤーニ・チョーハンとは、宇宙の神々の総称。宇宙を管理する天上の存在たちのこと、ディヤーニ・ブッダとは金剛界五仏のこと。

*パラニシュパンナ・・・最高善つまり絶対者のこと、パラニルヴァーナと同義語。パラニルヴァーナ(般涅槃、円寂)

*デーヴァマートリ・・・神母。

*スヴァバヴァット・・・宇宙を満たしている万物の根源。科学のいうエーテルをある程度考慮すれば、宇宙にあまねく偏在する可塑質料である、単なる物質ではなく、霊(意識)と原初質料が混ざり合い一体となったもの、宇宙意識物質を意味する。秘教的には「父と母」のことである。

**光線・・・『永遠の闇』の光線は放射されると、輝かしい光、すなわち生命の『光線』となって『胚種』のなかへと射し込む。『胚種』は世界卵の中の一点である。世界卵は形而上学的な質料を象徴する。『一点』を言葉通りに受け取り、空間の中の特定の一点と理解してはいけない。すべての原子の中心に『胚種』がある、これらの中心が集合的に『胚種』を形成しているからである。

*マートリパドマ・・・母なる蓮華。

*マーヤー・・・幻影。インド哲学によると、顕現した宇宙はすべてマーヤーである。

 

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 英文

1.. . . Where were the builders, the luminous sons of Manvantaric dawn? . . . In the unknown darkness in their Ah-hi Paranishpanna. The producers of form from no-form — the root of the world — the Devamatri and Svabhavat, rested in the bliss of non-being.

 

  1. . . . Where was silence? Where the ears to sense it? No, there was neither silence nor sound; naught save ceaseless eternal breath, which knows itself not.

 

  1. The hour had not yet struck; the ray had not yet flashed into the Germ; the Matripadma had not yet swollen.

 

  1. Her heart had not yet opened for the one ray to enter, thence to fall, as three into four, into the lap of Maya.

 

  1. The seven sons were not yet born from the web of light. Darkness alone was father-mother, Svabhavat; and Svabhavat was in darkness.

 

  1. These two are the Germ, and the Germ is one. The Universe was still concealed in the Divine thought and the Divine bosom. . . .

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  • このシークレット・ドクトリンのスタンザの試訳は、2012年03月28日に書いたMIXI日記を編集・修正してこちらにまとめたものです。
  •  原書として、Theosophical University Press版 【 The Secret Doctrine】 を参照しました。