H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【オカルティズムに関する研究】より 催眠術ー2

 <ブラヴァツキー・ロッジ、機関誌『ルシファー』1887-1891より抜粋>

 

                        H.P.ブラヴァツキー 著

                           aquamarith (ハテナ名) 訳

催眠術、その他の魔力の方法との関係(2)

 

問:科学における催眠現象の定義は、すべて間違っていますか?

答:これまで定義されていません。現在、もしオカルティストが物質的な科学の最新の発見に同意する(ある程度)ものが一つあるとすれば、それは金属-治療的および他の類似現象を誘発し、引き起こす性質を与えられた全ての身体は抵抗のない多様性、共通する一つの機能を持つということです。それらすべてが、いわば水源(複数)、すなわち急速な分子振動の発生器です、伝達物質を介するか直接の接触であるかにかかわらず、神経系に伝達され、共鳴で神経振動のリズムを変化させます。

 現在の『共鳴』は、必ずしも特質や本質の同一性を意味するものではなく、程度の同一性、重力や鋭さに関する類似性、音や動きの強さと一致する可能性を意味します。ベルとは共鳴したり、バイオリン、フルートとは動物や人間の器官を結ぶのかもしれません。さらに、特に有機動物細胞または器官における振動数の割合は、健康状態や全身状態に応じて変化します。それゆえ催眠の対象となる大脳神経の中枢は、潜在的な割合と不可欠な本来の活動での完璧な共鳴関係にありながら、彼が凝視している物体と共に、計測器(ロガーヘッド)の先端が与えられた瞬間に、それぞれの振動の数に関しては、何らかの有機的な妨害のために計測できない場合があります。

 こういった場合、彼の神経細胞と、彼が凝視する水晶或いは金属の基本組織との間には、全く共鳴がみられないことがあり、特定の対象物は彼に全く影響をおよぼし得ません。このことは催眠実験の成功を確実にするために、2つの条件が必要であるということです。(a)自然界のすべての有機体または『無機』体は、その固定された分子振動によって区別されるので、いずれかの人間の神経系と共鳴作用する身体がどれであるかを知る必要があります。 思い起こせば(b)前者(有機体)の分子振動が、それぞれの振動のリズムが一致したとき、すなわち、それらの振動の数が同一になったときにのみ、後者(無機体)の神経作用に影響を及ぼし得ます。それは機械的手段によって誘発される催眠術の場合、目の媒質を介して達成されます。

 したがって、機械的手段によって生み出された催眠と、操作者の直接の凝視に加えて彼の意志によってもたらされる催眠との違いは、同じ現象が生み出された界層に依ります、なお『魔力的な』あるいは鎮圧している自然力は同じ力の働きに依ります。それは物理的な世界とその物質界層では、動き(MOTION)と呼ばれ、精神力と形而上学の世界では、すべての自然の中で多面的な魔術師である意志(WILL)として知られています。

 金属、木材、水晶などの振動(分子運動)が熱や低温などの影響を受けて変化すると、大脳の分子も同じように上昇したり下降したりと速度を変化させます。そして、これはまさに催眠術の現象で起こるものです。凝視の場合、目は能動的な操作者の意志が主な作因ですが、この意志は休止しているときが奴隷であり裏切りものです、(この意志は)患者や被験者に無意識のうちに大脳神経の中枢に、後者のリズムを移しそれを脳に伝えることによって、凝視している物体の振動の速度に合わせます。

 しかし、直接のパス(通過させる方法)の場合、操作した人物の意志と彼の意志の間に必要な共鳴を生み出すのは、操作者が自身の目を通して放射する意志です。例えば、2つの和音として共鳴して調整された2つの対象のうち、1つは常に他のものより弱いので他のものよりも熟練し、弱い『共同反応』を破壊する可能性さえあります。これは真実ですから、私達はこの事実を裏付けるために物理科学に(解説を)求めることができます。手元にある 『敏感に反応する炎』を持ってください。音色が熱分子の振動の比と共鳴して打たれたならば、炎は音(または打たれた音)に即座に反応し、舞い、音とともにリズムで鳴ることを科学が教えてくれます。

 しかし、オカルト科学によると、音が強くなると炎が消えてしまうこともあります(イシス・アンヴェールド、第一巻、606頁、607頁)。もう一つの証拠は。ワイングラスまたは非常に繊細で透明なガラスのタンブラーを用意してください。それを銀製のスプーンで優しく打つことによって、確定した音色を作り出します。その後、グラスの縁を湿った指で擦って同じ音色を再現し、成功した場合、ガラスはすぐに割れて粉砕されます。他のすべての音とは無関係に、その特定の振動がその粒子にそのような激動を引き起こし、合成物全体が崩れ落ちることになるので、ガラスはそれ自身の基本的な音色の強烈さに耐えることができません。

 

問:催眠術によって治療しても病気になるのは何が影響しているのですか?本当に彼らの病気が治ったのですか、あるいは症状が延期されたのですか、それとも別の形で現れているのか、病的カルマですか?もしそうなら、それらを治療しようとするのは正しいのでしょうか?

答:催眠療法は永遠に治療することを提案するのかもしれませんし、そうでないかもしれません。すべては、操作者と患者との磁気的な関係の程度に依ります。 もしカルマ的な場合は、それらは延期されるだけで、病気ではない別の種類の懲罰的な悪として、他のかたちで返されます。私達はできる限りどんな時でも苦しみを和らげ、努力し、常に『正しく』あることに最善を尽くすべきです。人間は不快な湿った小部屋にいると寒いと感じます、罪人が正当に懲罰を受ける場合、刑務所の医者がそれを治療しようとすべきでないのは何故なのでしょうか?

 

問:操作者の催眠的な『暗示』を話す必要がありますか?彼は『暗示』を考えるのに十分ではないのでしょうか、彼が彼の主題に印象づけている傾向を「彼」が知らないか、気づかないようにすることさえ出来ないのでしょうか?

答:もし両者の間の親密さが一度にしっかり確立されていれば、確かにそうではありません。思考は、彼の操作者の意志に患者の意思を実際に従属させた場合、話すことよりも強力です。しかし、一方で、『暗示』の主題が善のみではなく、利己的な動機から完全に免れない場合、思考による暗示は、発言の暗示よりも悪い結果をはらんだ黒魔術の行為になります。自分や社会の利益がない限り、自分の自由意志を人から奪うのは常に間違っていますし違法です。前者(『暗示』の主題が善のみ)であっても大きな差別をもって行わなければなりません。オカルティズムは、すべての無差別の試みを、意識的であろうとなかろうと、黒魔術と妖術とみなします。

 

問:操作者の性格と動機は、瞬時に或いは遠隔地への結果に影響しますか?

答:これまでのところ、催眠術の過程は操作者の施術によって白魔術か黒魔術のいずれかになります、それは最後の答えで示します。

 

問:病による患者だけでなく、飲酒や虚言癖のような習慣を起因とする患者に催眠術をかけることは賢明ですか?

答:それは慈善と優しさの行為であり、智慧の隣にあります。なぜなら、彼の悪質な習慣を退かせることは、彼の良いカルマには何も加えないでしょう(彼自身の自由意志を改革し、大きな精神的、肉体的闘争を必要とします)、それでも、成功した『暗示』は、彼にとって、いっそう悪いカルマを生成して、常に彼の犯罪の過去の記録に追加することを妨げます。

 

問:信念(をもつ)治療者が成功するとき、彼自身が実行することは何ですか?その奇術は彼の諸規範と彼のカルマとが活動しているのですか?

答:想像力は、私達の生活のすべての出来事において強力な助けとなります。

想像力は信念に作用し、どちらも人生の道は障害物や荒れた岩で邪魔されています、多かれ少なかれ深く刻む意志のスケッチを用意している製図者たちです。

パラケルススは次のように述べています、『信念は想像力を確かめなければなりません、なぜならば、信念は意志を確立します...決意はすべての魔術的施術の始まりです....人間は完全に結果を想像して信じていません、それは不確実ですが、完全に確実かもしれません』これはすべて秘密です。私達の病気の半分や、3分の2は私達の想像力と恐怖の成果です。

 後からのものを破壊し、前のものに別の傾向を与え、状態は休止するでしょう。方法自体に罪深い有害なものはありません、彼の「力」への自信が際立って傲慢すぎるときに、信念の治療者からは警戒されます、彼が考えたときには必要とする病気を望むことができます、それらは向きを変え災いになりますが、専門の外科医と内科医師の助けを即時に借りれば、それらが致命的なことになりません。

 

 

ー脚注—

  1. オカルティズムで用いられる単語の原子は科学によって与えられたものとは異なる特別な意味を持っています。

 

〜おわり〜

 

字句訂正・・・階層を界層に(2018/12/27)