H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【秘密教義のオカルティズム】 — 第9章 ヘルメスとカバラの教義、『カバラ』と『エノク書』など・・・(その1)

  <初版1897年発行>

   シークレット・ドクトリンの第3巻だといわれている「シークレット・ドクトリンのオカルティズム」の前書で、アニー・ベサントは次のように記していたー

   H.P.Bから私に与えられた原稿を、それぞれ別々の章として取り上げ、可能な限り順番に並べている。文法上の誤りの訂正と明らかな非英語的な慣用句を除いた以外、原稿はH.P.Bのものである。 それ以外の記述箇所はマークを付けて保存してほしい。いくつかのケースで、私が補った箇所があるが、そのような追加は[角括弧]で囲まれ、テキスト本文と区別できるようにした。・・・これらは秘密教義の第3巻の一部として出版するために私の手に渡された・・・この巻はH.P.Bによって残された論文を完成させる。・・・ (再掲載)

  

         シークレット・ドクトリンのオカルティズム

            (第3巻) ― 第9章

 

                     H.P.ブラヴァツキー 原著

                                                          アニー・ベサント 編著

                  <[角括弧]はアニー・ベサントによる追補>

                      <[各単語] はaquamarithによる追補>

 

ヘルメスとカバラの教義

カバラ』と『エノク書

数と測り方

教義はあらゆるものに属している

 

 ◎ヘルメスとカバラの教義

 ヘルメスの宇宙発生論は、モーゼの体系と同様に密かに隠されている、しかし表面的には「神秘科学」そして「現代科学」と比較しても、はるかに調和している。 三重に偉大な「トリスメギストス」は、『形のない先在的な物質から世界を形作った手は、手ではない』と言う。

 それに対して創世記は 『世界は何も無いところから創造された』と答える、だが、「カバラ」はその冒頭の文でその意味を否定する。カバリストたちはインド・アーリア人よりも、そのような愚かな言行を認めなかった。彼らにとって「火」、「熱」、そして作用(動き)*(1)は、先在した物質による世界形成の主な手段になった。

 ヴェーダーンタ哲学者の用語であるパラブラフマンとムーラプラクリティは、カバリストの用語であるアイン・ソフとシェキーナーの原型である。アディティはセフィラの本来の型であり、そして、プラジャパティはセフィロトの兄たちである。

 

 現代科学の星雲理論にかかわる全ての謎は、古代教義の宇宙発生論で解明され得る、そしてそれは、『冷却の原因が収縮であり、収縮の原因が熱である、したがって冷却は熱を引き起こす』、といった非常に科学的であるが逆説的な説明であり、それは世界の特に我々の太陽と太陽系の形成の主要な作用として示される。

 これらすべては、隠された意味の鍵を持つ者のために、『ヤハウェ・エホバ・万軍』と署名されており、32の素晴らしい智慧の「道」を含む、セフィール・イェツィラーの小さなコンパス [セフィロトの樹] に収められている。

 

 創世記の最初の詩句の、独断的あるいは神学上の解釈に関して、同書で適切な回答がされている、それは「三つの母」すなわち(空、水、火)について、筆記者はそれらがバランスを取っていると語る、それは、

 

 天秤のひとつに善が、もう片方に悪が乗せられ、それらの間に指針が揺れ動く。

 

 「一なる永遠」そして「絶対存在の神」の秘密の名前のひとつは、あらゆる国において同一であり、様々な言語で今日まで音声学的類似点を保っていた。

 ヒンドゥーの神聖な音節の「オーム」は、ギリシアでは「アイオーン[‘Aἰών]」に、ローマでは「アエウム」または「パーン」すなわち「すべて」になった。『30番目の道』は、セフィール・イェツィラーで『収集協定[gathering understanding]』と呼ばれている、

 なぜならば

 それによって、星々と天上界の諸星座宮のアデプトの見解が集まり、そして彼らによる諸軌道の観測が科学の完成になる。

 

 最後の32番目は、『奉仕協定 [serving understanding] 』と呼ばれる、そう呼ばれた訳は、多数の彼らによると、7惑星の働き[work]に奉仕している全ての配置役 [ディスポーザー] だからである。

 『働き [work]』とは秘儀参入であり、その際に『7惑星』と関係があるすべての神秘は暴露された、そして聖別されたキリストスの栄光と勝利、7つの輝き、『太陽—秘儀参者』の神秘は切り離され、その神秘は、慈悲のむしろ不可思議な表現をあきらかにする。

 

 そのために私たちは、[バーバリアンとヘレニック哲学] のような宗派によって保有されている非常に多くの教義が、全く無意味ではなく、[「キリストというよりもキレストスを切り離すことにより」]自然の秩序から切り離されていないことを発見するであろう、それは. . . それらの起源と全体としての真理を対応させる。

 

脚注ーーーーーーー

*(1) マンヴァンタラまたはプララヤの間や自然(宇宙空間)であっても、永遠に絶え間ない『パラブラフマンの深呼吸』は、ある。

*(5) キリストスという用語に気がついた人は、グノーシス派によって、その用語が高位自我(古代異教ギリシア秘儀参入者が同じことをしていた)を表していたことを容易に理解するだろう。 キリストスは、最終的に最高位の秘儀参入の後、両者が一つに混合された時に、低位自我すなわち、キリストスから切り離されたと言われている。キリストスは克服されて、栄光に輝いたキリストスのなかに復活する。— フランク、カバラ、75頁:ダンラップ、ソード、第2巻

*(6) ストロマティス、第1巻13章

 

<訳者より・用語解説>・・・[ Wikipediaより転載] セフィール・イェツィラー(形成の書、創造の書)とは、ユダヤ教神秘主義思想カバラの基本教典の一つ。伝承によればユダヤ人の祖であるアブラハムの作品とも言われるが、120年頃ラビ・アキバにより成立したものとするのが通説である。また、3世紀から6世紀にかけてと製作されたという異説もある。

10の「数」(によって象徴される4つの根源的元素と6つの方位)と22の「文字」(によって象徴される元素)を用いた、神による世界の創造を描く。また、この「数」と「文字」を合わせて「33の智恵の経路」とも総称する。

<訳者より・用語解説>・・・[ Wikipediaより転載] セフィロトの樹は、10個のセフィラと22個の小径(パス)を体系化したもの、「生命の樹」と呼ばれる。現代ではセフィロトの樹は「生命の樹」と同じと解釈される(カバラ由来の樹はセフィロトの樹が正しく生命の樹と混同すべきではない等)。

 

つづく

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 ☆ブラヴァツキー夫人の著作が読みたいがために日本語訳にチャレンジしています。シークレット・ドクトリン第1巻〜第3巻内の「エノク書」に関する章を3つ連続して掲載しました、今回の第3巻第9章は、原書と加藤氏の翻訳を参考にして自分なり訳しました。

 加藤氏(1933生まれだそうです)の訳書を参考にすることで、誤った解釈等に気づいたりと、大変勉強になりました、本当に有難く思います。

 

 ☆原書として、Kessinger Pub Co【Occultism Of The Secret Doctrine】 を参照しました。

 

 ☆シークレット・ドクトリン第三巻 加藤大典訳 文芸社 を参照しました。