【オカルティズムに関する研究】より 催眠術ー1
<ブラヴァツキー・ロッジ、機関誌『ルシファー』1887-1891より抜粋>
H.P.ブラヴァツキー 著
aquamarith (ハテナ名) 訳
催眠術、その他の魔力の方法との関係(1)
私達へ『H.C.』と、他の仲間達から、いくつかの質問がありました。質問には指定された形式通りに答えますが、オカルティズムの立場に限定して答えるべきでしょう、秘教の教えと対立する可能性があるような、現代科学(『物質主義』の別名)の仮説を考慮してはいません。
問:催眠術とは何でしょうか:動物磁気(またはメスメリズム)とは、どのように違うのですか?
答:古くから余り知られていない『魔力にかかる』や『エンチャントメント(魔法にかかる)』などと呼ばれる、『迷信』の新しい学名が、催眠術です。それは古くから伝わってきた迷信が現代になって真実に変わりました。事実はそこにありますが、科学的な説明はまだ不足しています。いくつかの例によって、催眠作用は神経の周囲に人工的に作られた刺激の結果であると信じられていて、この刺激が反応することによって脳物質の細胞に入り、その疲労によって睡眠の別の状態(催眠、または睡眠)である状態を引き起こします、主に想像力などで作られた単に自己誘発性の昏睡状態であるということが他の例によって知られています。
催眠術は、金属または水晶の幾つかの明るい場所に視点をあわせるような、純粋に機械的な方法であるブレイド(Braid)法によって催眠状態が生じます、これは動物磁気とは違います。『メスメリック』が患者を通り過ぎることが理由となり催眠状態が達成されたとき、『動物磁気』(またはメスメリズム)になります。一番目のブレイドの方法が行われるとき、電気-超自然的または電気的-物理的電流は作用しませんが、被験者が凝視した金属または水晶の単なる機械的、分子的振動は作用します。目は私達の身体の表面にありながら、最も隠された器官であり、金属や水晶と脳との間の媒体として働き、後に神経中心の分子振動を共鳴させ(すなわち、それらのそれぞれの振動の数における等価性)、保持された明るい物体の振動と比較します。そして、催眠状態を作り出すのはこの共鳴です。しかし、二番目のケースでは、催眠術の正しい名前は確かに『動物磁気』であるか、あるいは多くは嘲笑的な用語『メスメリズム』とされています。
予備的な方法による催眠状態で、患者の神経系に作用するのは、操作者自身の意識であってもなくても人間の意志です。そして、空間のエーテル(したがって、全く別の界層で)の中で、『意志(Will)』と呼ばれるエネルギーによって生み出された振動--分子ではなく、原子だけ--、で超催眠状態(すなわち、『暗示』など)が引き起こされます。私達が『意志-振動』および、それらオーラ(アウラ)と呼ぶものについては、単に機械的な分子運動によって生み出される振動とはまったく別で、二つは宇宙界層-地球界層の二つの別々の段階の動きに作用します。 ここではもちろん、オカルト科学における意志という意味であることを明確に理解することが必要です。
問:催眠術と動物磁気は共に、操作者から発せられた何かが彼の患者のなかを通過します、その何かは患者へ影響を与えます。催眠術と動物磁気が伝えるもの『何か』とは何でしょうか?
答:その『何か』を表す名称がヨーロッパの言語にはありません、その名称を単純に意に反して記述すると、その意味はすべて失われます。『魔法にかかる』『魅惑』『魔力』『呪文』、そして、特別な動詞『呪文にかかる』といった古くてタブーであった言葉は、このような伝達の過程で起こった実際の作用を、見事に思い起こさせる表現ですので、現代の『心理学的説明』用語や『生物学的説明』用語で表すことは無意味です。
オカルティズムでは、『オーラ的な光』と区別するために、伝達する力を『オーラ的な流体』と呼びます、『流体』は、より高い界層上の複数原子の相関であり、感知できず目に見えません、塑造物質の形へ、潜在的な意志によって生成され導かれた、この下部のものへの降下です。ライヒェンバッハ(Reichenbach)が『オド(Od)』と呼ぶ自然界の生き生きとした無生物を包囲する光である『オーラ的な光』は、一方では物体からのアストラル反射であり、その特定の色と複数の色の組み合わせと種類、グナ*の状態、あるいは、それぞれの特殊な対象と実体の性質と特徴を意味します、人間のオーラがすべての中で最も強いです。
<訳者注 グナ*・・宇宙の根本原理プラクリティを構成する三つの要素。>
問: 『吸血鬼状態(ヴァンピリズム)』の根拠は何ですか?
答:この言葉が、ある人から別の人へのある種の隠された浸透によって、ある人の活力の一部、すなわち生命のエッセンスを非自発的に伝達することを意味するならば、後者(別の人)はそのような吸血鬼化する(ヴァンピライジング)能力を与えられます、私達はちょうど今話している半ば実質的な 『オーラ的な流体』の性質とエッセンスを深く研究するときだけ、行為は理解できるようになります。この(オーラ的な流体)性質で他のすべてのオカルトの表現形式[フォース(力)?]と同様に、内側への浸透圧と外側への浸透圧(end- and exosmosic) 過程は、無意識、或いは意志によって、有益にも有害なものにすることができます。
健全な操作者が患者をメスメライズで、強い願望を取り除き治療することに意欲をみせると、操作者が感じる疲労は与えた救済に比例します、すなわち内側への浸透の過程が起こり、治療家は自身の活気あるオーラで病人に利益をもたらします。一方、ヴァンピリズム(吸血鬼状態)は、盲目的で機械的なプロセスであり、一般的には知識なく作られる吸収体、またはヴァンピライズ(吸血鬼化)の集合体です、場合によっては、それは意識的または無意識の黒魔術かもしれません。訓練を受けたアデプトや妖術師の場合、そのプロセスは意識的に、そして意志(Will)の導きによって行われます。両方とも伝達物質は、磁気的で魔力的な能力であり、その結果は地上的および生理学的であり四次元界層上で引き起こされ生成されます – 複数原子の領域です。
問:催眠術『黒魔術』はどのような状況下にありますか?
答:いくつかの例をあげても、ちょうど論議された状況のもとで、主題を完全に補って答えるためには、いっそう多くの余裕が必要です。操作者を動かす動機が利己的であったり、生きている存在たちに有害であるならば何時でも、そういった行為はすべて黒魔術として私達は分類します。治療者がメスメライズで健全な活力のある液体を患者に与えれば、病気を治せます、しかしそれがあまりにも多いときは死に至らせることになります。
[このことは、振動実験でタンブラーを粉々にしているときの問7の答えで、その説明を受けます。]
問:旋回鏡などの機械的手段によって生成される催眠と、操作者の直接凝視によって生成される催眠(魔力)との間には何らかの違いがありますか?
答:この違いについては、問1への答えで述べているはずです。操作者の凝視は、催眠術者の単純な機械的なパス(通過)の手段よりも、より強力なので危険です、十中八九どのようであるかは知ることはできません、したがって意志で行うことはできません。秘教科学の学生たちは、オカルトの対応の法則によって、前者(機械的手段による)の行動が物質の最初(最低)の界層で行われ、後者(操作者の直接凝視)は十分に集中した意志が必要であるということを認識しなければなりません、操作者が不敬な初心者であれば4番目の界層で、操作者が何らかのオカルティストであれば5番目の界層で行われます。
問:水晶の小片あるいは明るい記章の小片は、何故ある人を催眠状態に陥れたり、別の人には対処法のない影響を与えるのでしょうか?これに対する答えは、ある種の混乱を解決するのではとないかと考えます。
答:科学は、この主題に対して様々な仮説を提示してきましたが、これまでのところ、どれひとつ明確なものとして確立していませんでした。これは、そういったすべての思惑が、隠れた諸力と機械的な理論を伴う物質-物理現象の悪循環で巡っているからです。 『オーラ的な流体』は科学者によって認識がなされないため彼らはそれを拒否します。彼らは金属-治療術の有効性について何年経っても信じないのです、しかし、これらの金属の影響は、その体液や電流が神経系に作用することによるものでしょうか?ただ単に、この体系と電気の活動の間に類似が存在することが判明したからでしょう。
この理論は失敗しました、なぜなら、きわめて注意深い観察と実験にぶつかったからです。まず第一に、この金属-治療術に示された基本的な事実と相反していました。この特徴は、(a)あらゆる金属があらゆる神経疾患に作用するわけではなく、ある患者はある金属に敏感であり、他のすべての金属はその患者に何の影響ももたらしませんでした。 (b)特定の金属の影響を受けた患者は殆どいないだけでなく例外的でした。これは、病気を治し、病気に影響を与える『電気流体』は、理論家の想像力だけに存在することを示しました。実際に存在していれば、すべての金属がすべての患者に多かれ少なかれ影響するだろうし、金属は別々に用いられ、神経疾患のすべての症例に影響を与え、そのような流体を生成する条件は、まさに同じでしょう。
このように、シャルコット博士は、かつて金属-治療術を見つけ出したバーク博士を擁護していました、シフ(Shiff)と他の人たちは、電気流体を信じているすべての人からの信用を失ってしまい、現在、当然ながら生理学においての分子運動にしばらくは支配されているようです。しかし、今や疑問が浮かび上がってきます。『実際の性質および動きと状態は、流体の性質および動きと状態よりも優れているのでしょうか?』それは疑わしいことです。いずれにしても、オカルティズムは、電気または磁性流体(二つは真に同一である)が、本質的には同じ分子運動に起因し、今や原子エネルギー(1)に変換されていると主張しており、自然界にある他のすべての現象もまた同様でしょう。実際、ガルバノまたは電圧計の針が電気または磁性流体の存在を示す振動を示さない場合、これは少なくとも記録するものがないことを証明してはいないのであって、単に別のより高い作用界層に移動しただけで、電位計は、もはや完全に切り離された界層上に表示されるエネルギーの影響を受けることができなくなります。
催眠術、電気、金属-治療術、または『魔力』を問わず、ある人間や物体から他の人間や物体に伝達される力の対象は、エッセンスと同じであることを示すために、上記の説明をしなければならなかった程度でしかなく、それが作用している物質のサブ界層に従って修正されています、その中のサブ界層は、オカルティストであれば誰もが知っていること、すなわち私達の地球の界層は七つあり、それぞれ互いに接しているということです。
つづく~
字句訂正・・・階層を界層に(2018/12/27)