H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【秘密教義】 第2巻 第3部ー6章 歴史に痕跡を残す巨人族、諸文明、そして海面下の諸大陸。(その4) 

 <<1888年に出版された H.P.ブラヴァツキー の著作>>

ーーー巨人たちの人種 。ーーー異教とキリスト教の一致。ーーーマズダ教徒による7つの地についての見解。ーーー

 

シークレット・ドクトリン【秘密教義】 第2巻 第3部 6章(その4)

 

                      H.P.ブラヴァツキー 著

                       

 

 Page 755

 

  巨人たちの人種

 

 スラヴォニア国、特にロシアは古いボガテレイ(並外れた巨人)についての伝説に満ちている、民間伝承の殆どは国家の歴史の基盤として役にたっており、彼らの最も古い歌と最も古い伝統は、昔の巨人たちのことを語る。このように「タイタン」たちの象徴を単なる宇宙の力であると表す現代の理論を、我々は間違いなく拒むだろう。実際に彼らは20フィートまたは12フィート程の身長の実在した人々であった。もちろん、諸人種の歴史の中ではるかに近年に属していたホメロスの英雄たちでさえ、現代人の強さを超越する大きさ重量の武器を用いてきたようである。  

  “10人が強大なバルクを上げることができた、

      これらの退歩した、二度とない日々に生きた、そのような人々。”

 

 カーソンや、インディアナ、米合衆国からの化石の足跡が人間のものであれば、彼らは巨大な人々であったことを示している。それらの誠実さは疑う余地がない。巨大な人々の原型と科学的証拠が単に足跡に基づかなければならないことは残念なことである。幾度も繰り返し、仮説的巨人の骨格は象やマストドンの骨格と同一視されていた。

 

 だがそのような人々は、この地質学の時世に大失敗をするのである、サー・ジョンマンデヴィルの旅行者の架空話がある、それは彼がインドで56フィートの高さの巨人を見たと言うものである、これは巨人たちが存在するという信念があり、どんな時も決して、人々の思考から消滅することがなかったことをただ示しただけなのである。

 

 巨人たちの僅かな人種が存在し異なった痕跡を残したことは知られていたし、受け入れられていた。人類学研究所のジャーナルに(第1871巻(芸術)。C.カーター・ブレイク博士によって)そのような人種は、ユダヤ人のものとは全く異なる頭蓋形態を示し、パルミラに存在し、おそらくミディアンに有するものとして示されている。別のこのような人種がサマリアに存在した可能性はあるだろう、ヨルダン渓谷で新石器時代の極めて堅いものを切って、ガリラヤのストーン・サークルを建て、そして整然としたヘブライ語の文字から全く異なる古代ユダヤの言語を保存したのは神秘的な人々であり、とても背丈のある人々だった。

 

 現代の修正された表現でさえ、聖書の英語訳は決して信頼できない。彼らはネフィリムを“巨人たち”と翻訳し、“毛むくじゃら”な人々であると付け加えた、おそらく教父の気まぐれにより雄弁に記述された後のサチュロスであり、大型で強力な原型なのであろう、教会神父たちのうちの一部の者は、現存し長期間保存された状態で守られた他の“サチュロス”を自分自身で見たと、彼らの追随者と支持者に保証している。“巨人”という語はかつてネフィリムの同義語に採り入れられ、後に解説者は彼らをアナックの息子と区別した。

 

 約束の地を奪い取った妨害者たちは、彼ら自身を超える高身長の人々が既存していたのを発見し、彼らに巨人族と名を付けた。だが実際には巨人族モーセの誕生前に滅んでいた。

 

Page 756

 

 この背の高い人々は、カナンとバシャンにも存在し、ミディアンのナバティ人に代表された可能性がある。彼らは小さなユダヤ人よりもはるかに高身長であった。 4000年前、彼らの頭蓋構造と高い身長は、彼らをヒーバーの子供たちから引き離した。 40,000年前、彼らの祖先はもっと巨大であったのだろう。そして、ブラッドディグナギア人(巨人)がリリプチア人(小人)であったように、我々の時代には、彼らは人類と釣り合っていなければならないのである。

 

 中期のアトランティス人は偉大な龍たちと呼ばれていた、そして“神”と神聖な諸王国が彼らを見捨てたとき、彼らの人種の神の最初の象徴は巨大な蛇であった。

 

 ドルイド僧の起源と宗教にベールをかけている神秘は、支援者たちが想定したとおりであり偉大であり、現代の象徴学者や秘儀参入したオカルティストたちにとっても同じくらい偉大である。彼らの聖職者は最後のアトランティス人の直系であった、知識として彼らがカルデア人とインド人に似た東の聖職者たちであったという推論をするのには十分であるが、 それ以上のことではない。

 

 エジプト人が彼らの神秘を神にしたように、ヒンドゥー教徒がヴィシュヌを神にしたように、彼らの神を彼らが象徴したと推測されるだろう、オハイオの偉大な蛇の塚の建築者たちは、“強い蛇”の形の下で、永遠の時間の神(ヒンドゥー教徒のカーラ)の象徴的な模様のそれらを崇拝した。

 

 プリニーは彼らを “ゴール人と英国人の魔術師”と呼んだが、それ以上のものだった。 “インドの古代遺物”の著者は、ドルイド僧とインドのバラモンの間に多くの親近性があると見ている。ボーラス博士は、ペルシャの魔術師 (*22)との類似点を指摘している。他の者たちは、彼らとトラキアオルフェウスの聖職者との間の帰属意識を見るだろう。彼らの秘教的な教えと普遍的な“智慧”の宗教と彼らが結びついており、すべての顕教の崇拝に親近感を与えていたからである。

 

 ヒンドゥー教徒ギリシア人、ローマ人(我々は秘儀参入者たちについて話す)、カルデア人とエジプト人のように、ドルイド僧たちは諸世界の変遷の教義を信じた、同じように7つの“創造物”(新大陸)と地球、そして地球のための7倍の夜と日(“エソテリック・ブッディズム”参照)。 卵を持つ蛇がどこにあっても、確かにこの教義がそこに存在した。 それらのドラゴンティアはそれの証拠である。この信念は非常に普遍的で、様々な宗教の秘教の中でそれを求めるなら、我々はすべて発見するだろう。

 

 脚注———————————————

 (*22) しかし、ペルシャの魔術師は、必ずしもペルシャ人ではなかったしカルデア人でさえもなかった。彼らは遥か彼方の国の出身であり、東洋学者はその土地がメディアであったという意見があった。これはそうかもしれないがメディアのどんな地域からなのだろう? これの返答は受け取ってはいない。

 

   ———————————————

 

Page 757

 

  異教とキリスト教の一致。

 

 アーリア人ヒンドゥー教徒やマズダ教徒、ギリシア人、ラテン系民族、そして古代ユダヤ人や初期のキリスト教徒たちの現代の血族は、彼らの文書を読んでも、今は理解することさえ難しいということを見つける。セネカが“書簡9、問答集-3, c., ult.”中で何を述べているのかを見ることにする、世界が溶かされていって木星の胸に再び入り込んだ、この神はしばらくの間、自分自身に吸収されて隠され続け、完全に考えに没頭し続ける。

 その後、新しい世界が彼から突然現れる. . . . 人々と動物たちの罪のない人種が新たに生まれまる. . .など。 再び普遍的な死を伴う周期的でありふれた消滅について話すとき、彼(セネカ)は“自然の法則が破滅して埋まって、世界の最後の日が来ると、南極は崩壊するだろう、それは下って、アフリカのすべての地域、そして北極は、その軸の下のすべての国を圧倒するだろう。

 恐れた太陽はその光を奪われるだろう、荒廃し没落している天国の宮殿は生と死の両方をすぐに生み出し、ある種の消滅はすべての神を同じようにとらえ、そのようにして元の混沌に戻る”(“神の書”、160頁参照。)

 

 読者は自身が大プララヤのパラサラによってプラーナ文献に関する説明を読んでいると想像するかもしれない。それは考えについての考えだと言うことほぼ同じである。キリスト教には何の記述もないのだろうか? それについて述べることにする、読者は英語の聖書を開き、ペテロ第二書簡の第3章の詩句3、1~14まで読んでみれば、同じ考えを見つけるだろう. . . . “終わりの日に嘲る者どもがやって来るだろう. . .いわば‘ 彼が訪れるという約束はどこにあるのだろうか?. . . . 父たちが眠りに落ちてから、彼らが創造の初まりからだったので、全てのことが続くのである。

 ゆえに、彼らは無知である. . . . 神の言葉によれば、諸天は古く、そして地球は水の外に、水の中に位置していた、世界はそれからは水で氾濫して冷え切った(機能を失った)。しかし諸天と地のそれは今は火に留まった. . . . そうして諸天がある. . . . 諸エレメントは強烈な熱で溶けなければならない. . . .それにもかかわらず、我々は新しい諸天と新しい地球、など、その他を探す。

 

 解釈者がこの中での創造への言及、大洪水そしてキリスト降誕(約束されたキリストの来訪)を見ることを選んだならば、彼らは天国の新しいエルサレムに住むだろう、これは“ペテロ”の誤りではないのである。使徒の書簡の意味における筆記者の「何か」とは、地下にある洞穴の火災と洪水による我々第五人種の破壊と第六根本人種のための新しい大陸の出現であった。これらの使徒書簡の全ての筆記者は科学的ではないにしても象徴学(symbology)で学んでいたのは確かである。

 

Page 758

 

 我々の “連鎖”の七つの法則の信念は、最初のザラトゥストラからそれを得た初期のイラン人の最も古い教義であると他の所で言及されていた。 聖書の意味への鍵を失ったパルシー教徒にそれを証明する時である。アヴェスタによると、地球はセプテムパーティテ(七つに分かれた)と考えられて、全く同一の時に三つ組とみなされる。だがリグ・ヴェーダが“3つの地球”に言及しているので、アヴェスタは地球の三つの三分の一について語るが、ガイガー博士によると、彼が名づける矛盾という理由で不一致があるとみなされたのである. . . .

 

  “3つの階層や層、他の層の上に存在しているのは、これによる意味である。”(*23) しかし、彼はすべての顕教的な不敬な翻訳者のように誤りをおかしている。アヴェスタは考えをリグ・ヴェーダから借りたことはなく、秘教的な教えを単に繰り返しただけである。“3つの階層または層”は我々の球体だけを指しているのではなく、天球の連鎖の球体は3つの層に分かれている、2つずつ、各面に1つ、降りている1つ、もう1つは上がっている弧の上にある。

 

 したがって、我々の地球の上方にある6つの球体または球、すなわち7番目と4番目の球体について言うと、それは3つに分かれた面の上にある我々の面の間のセプテムパーティテ(七つに分かれた)である。 この意味は、アヴェスタとベンディダードのテキスト、そして翻訳者と解説者の推測、それも最も面倒で不満足な推測作業によってであっても実証されている。

 

 したがって、“地球”ある程度の地球の連鎖の7つのカーシヴァースへの分割は、この言葉を“面(複数)”と読み替えれば、3つの“区域”と矛盾しないことになる。ゲイガーの言葉通り、この七つの区分は非常に古い、むしろ最も古いものであり、ガサスは既に“セプテムパーティテ(七つから成る)地球”を話しているからである。(ブミ・ハプタイティ、ヤスナ、32、3)。“パルシー教徒の聖書によれば、7つのカーシヴァースは地球の完全に繋がりのない部分”でありそれらは確かである。“それらの間には海が流れているので、いくつかの通路に定まっていて、一つのカーシヴァースから別の通路に通ることは不可能である。 (†24)

 

 “大海”は空間である、もちろん後者は“宇宙の水”と呼ばれ、それがエーテルとして知られていた。 さらに、カーシヴァーという言葉はドゥウィーパ、特にジャムブードゥウィーパ(特にネリオセング、ヤスナの翻訳者)(‡25) のクァニラサによって一貫して表現されている。しかし、この事実は東洋学者には考慮されていない、したがってガイガー博士の翻訳に気付かずに、そしてマズダ教徒の聖書に豊富にあるこの種の“不一致”についての論評の言葉も意見も言わずに、そのまま学んだゾロアスター教徒、パルシー教徒が生まれたのである。

 

 そういった“不一致”と“偶然の一致”のひとつは、プラーナで応じたように7つのドゥウィーパ(むしろ島、大陸、)について、ゾロアスター教とインドの教義との類似性に関係している、“ドゥウィーパは、同芯の複数の輪である大海に隔てられ、中央に位置するジャンブ・ディーパを取り囲んでいる”(130頁、第1)、イラン人の見解によれば、カルシュヴァル・カニラータも同様に残りの中央に位置する. . . . それらのそれぞれ(他の6つのカルシュヴァル)は独特の個別な空間であるため、カニラータ(Qaniratha)#の周りにグループ分けられている(同上、131頁)。

 

 脚注———————————————

 (*23) 129頁、“古代イラン東部の文明。”

 (†24) 参照、例、第一巻、4、パブラヴィ翻訳; Bdh. 21、2-3。

 (‡25) ウィルヘルム・ガイガー博士の“東イラン人の文明”の翻訳者、Darab Dastur Peshotan Sanjana、B.A. による脚注。

  ———————————————

 

Page 759

 

  マズダ教徒による7つの地についての見解。

 

 カニラータ(Qaniratha)とは我々の球体あるいは地球を意味する、ガイガーと彼の翻訳者が信じていたように“イラン人の部族が住んでいる国”あるいは他の名称である“北部、南部、西部、東部の隣り合う領土”(132頁、参照)を意味するものではない。

最後に引用された文、すなわち“2つのヴォーブルシティとヴォルー・ザルシティが北に横たわる”という意味の文であることについて、その2つとは南部のヴィダーフシューとタラダーフシューであり、東部と西部のサハヒとアルザヒは地球の“連鎖”の非常に正確かつ正確な記述であり、ジャーン(11)の本に書かれている。

 

 上記のマズダ教による名称は、シークレット・ドクトリンで正統な教義となるために使われたものに置き換えなければならない。したがって、諸世界の連鎖は我々の球体の上方の地球上の3つの異なる平面に位置しているため、“地球”(我々の世界)は“三つから成る”そして連鎖を構成する7つの球体または球のために、それはセプテムパーティテである。 したがって、ベンディダーッド19.39に与えられたさらなる意味は、“カニラータだけがイマット‘これ’(地)と組み合わされ、他のすべてのカシュバールは‘アヴァット’、‘それ’または上方の地という言葉と組み合わされていることを示している。” プレインナー(平坦なもの)であることでも何でもない。

 

 他のすべての古代信仰の近代的な理解についても同じことが言える。

 11月1日にすべての火が消えたのに対し、魔術師と現代のゾロアスター教徒のように、その神聖で消すことのできない火だけが地平線を照らしていたときに、ドルイド僧は、牡牛座で太陽の意味を理解した。 そして初期第五人種と後のカルデア人ギリシア人、同じくキリスト教徒は再び、こんにちまで同じように、本当の意味を疑うことなく、彼らは明けの明星、美しい金星ルシファー(*26)を迎えた。

 

 脚注———————————————

 (*26) ケネアリー博士は、彼が書いた“神の本”ヴァランシーを引き合いに出す、それによれば、“私はジブラルタルからアイルランドに毎週は上陸していなかったが、そこで、様々な国のユダヤ人のヘブライ語カルデアを学んだ、そのとき私は前兆を耳にした、それは立っている農夫に女の子が、惑星ヴィーナスすなわちカルデアのマデーナ・ナーガ、を指し‘マデーン・ナーガ’(明けの明星を見る)だと話したことである。

   ———————————————

 

Page 760

 

 ブリタニアの近くの島すなわち“ケレスとペルセフォネサモトラケで同じ儀式で崇拝された場所”であるこの島は永遠の火がつけられた神聖イエレナであったとストラボは語る。ドルイド僧は人間の再生を信じた、ルシアンは次のように説明している、“同じスピリット(霊)は、異なる世界ではなく、新しい体で活気づくのである”、しかし、この同じ世界のなかで一連として生まれ変わるのであり、ディオドロスが言うように、人間の魂は限定された期間の後、他の体(*27)に移ると断言した。

 

 これらの教義は、第4人種のアトランティス人から第5人種であるアーリア人のところにいった。彼らは教えを敬虔に保存していた、親族の根本人種が、超人間的能力を獲得するにつれて、あらゆる世代で、より尊大になって終わりに向かって徐々に変わっていった。これらの記録は、先行した人種の巨大な体格だけでなく偉大な知性を思い出させた。 古代から我々に伝わってきたほとんどすべての古い断片には、歴史上のあらゆる時代において、それらの記録が繰り返されている。

 

 アエイリアン(AElian)は、アレクサンダー大王の時代に書かれたテオプラストスから抜粋されて保存された。それはミダスとフリギア人とシレーノスとの対話である。前者は古くから存在していた大陸のことであり、アジア、ヨーロッパ、アフリカはそれに比べて貧しい島のように見えた。それは巨大な動植物を生み出した最後の大陸だった。 そこでは、シレーノスは、彼の(語り手の)時代には身長が最大な人の背丈が二倍に成長し、寿命も二倍長かった。彼らには寺院のある裕福な都市があり、そのような都市には百万人以上の住人が住んでいたし、金と銀が豊富に存在していた. . . .

 

 アトランティスが妄想から生まれた神話であるというグロートの示唆、それは 黄金色の海の上に島々を見せている眩しい空の雲. . . . 気づいたとしてもあまりにも不誠実である。

 

 脚注———————————————

 (*27)全世界、人類全体が一つの宗教を持っていた、そして彼らが“ひとつのことば”だった時があった。“地球のすべての宗教は、最初は「ひとつ」であり、ひとつの中心から出てきた。” ファーバーはまさに事実を語る。

    ———————————————

 

6章(前編)終わり

 

 原書として、Theosophical University Press版 【 The Secret Doctrine vol.2】 を参照しました。

 

 このシークレット・ドクトリン第2巻-第3部-6章の日本語訳は、2017年5月に書いたSNS(mixi)日記を編集・修正してこちらにまとめたものです。