【秘密教義】 第2巻 第2部ー21章 エノイキオン — へノック(その3)
<<1888年に出版された H.P.ブラヴァツキー の著作>>
ーーエノクとは何か、秘教的なのかーー
シークレット・ドクトリン【秘密教義】
第2巻―第2部 ―21章
H.P.ブラヴァツキー 著
aquamarith (ハテナ名) 訳
◎エノクとは何か、秘教的なのか
単に象徴的な鍵に促され解釈されたエノクは、人の霊的で物質的な二重の性質をもつ基本型である。したがって、彼は天文学的な十字(秘密の文献からエリファス・レヴィによって与えられた)の中心を占めている、これは6つの先端をもつ星“アドナイ”である。上三角には鷲があり、[人物から見て] 左下の三角形にはライオンが立ち、右には雄牛が立ち、そしてライオンと雄牛の間、鷲の下に、エノクあるいは人の顔がある。 いま上の三角形内の插絵は最初の人種を除いた第四諸人種を表している – それはチャーヤー (Chhayas)または影たちである – “人の子たち”「エノス」即ち「エノク」は中心にいて、ふたつの(第四と第五)人種の間に立っている、彼が両方の秘密の智慧を代表しているからである。これらはエゼキエルの、そしてヨハネの黙示録の四動物である。[アドナイ・下図を参照]
イシス・アンヴェールドの第2巻(453頁)に書かれているヒンドゥーのアドナイは、同じ二重の三角であり、最も適している。そのため我々にとっての歴史上の三人種だけは、ここで象徴されていた;アダ-ナリによる第三は中性的であり;第四は強力なライオンによって象徴された、そして第五は – アーリア人 – として、今日までその最も神聖なシンボルである雄牛(牛)によって象徴された。[アドナイ・下図を参照]
偉大で博識な、フランスの大家M.ド・サシは、類稀な幾つかの主張をエノク書のなかに発見した。そして“それは最も重大な検討に値する”と彼は言う。たとえば、“著者(エノク)の記述によれば、太陽年は364日で構成されており、3、5、8の時代を知っているようであり、4つの補助日が続き、それらは、彼の体系で、昼夜平分時と至であるように見える。*・・・彼は後に、“なるほどだが、それら(これらの『不条理』)を言い繕うことを意味するのではない、あくまでも推測ではあるが、ノアの大洪水の時代に自然界の様相が変わっていたかもしれないという、著者の若干の空想的な体系を説明するものだ”と付け加える。
まさにその通りである、シークレット・ドクトリンはその“自然界の様相”がこのように作り変えられたことを教え、地球の人文科学の一連もそうであると教えた。
天使ウリエルがエノクに告げる、“見よ、我は汝にすべてのものを示した、おお、エノク、汝にすべてのことを明らかにした。天の星々の運行や、太陽、月、そして季節、そして順行が戻る原因になるすべての操作、順行、逆行を汝に見せた。罪人たちの時代に、年は短くなるだろう. . . 月は、その幾つもの法則を変えるであろう”(第79章)。
巨大洪水以前の頃にも、アトランティス人が滅ぼされ、地球全体の様相は変わった、— なぜなら “地球(地軸上で)が、傾けられた”からである、— 地球が傾いてしまったことによって、自然、地質学的、天文学的そして、宇宙的状況は通常と同じであったはずなどない。64(11章)を見ると ・・・ “そして、ノアは、『話を聞いてください、話を聞いてください、話を聞いてください』という苦々しい声をあげて三回泣いた。 そして、彼は、『地球は働いて、激しく傾けられる、私はそれで死ぬだろう』と言った。”
聖書が文字通り読まれるとすれば、これは多くの“矛盾”のひとつであるように見える。控えめに言っても、“主の目にかなった恵みを得て”箱を造るように言われたもの者にとって、これは非常に奇妙な恐怖であるからだ!しかし、ここでは、神の“友人”というよりも、まるで彼が怒りに満ちた神格によって運命づけられた巨人の一人であるとしている、多くの恐怖を立派な長老派の主教が表明していることを我々は見つける。地球はすでに傾いていて、水が押し寄せて来るのは単に時間の問題になっているが、ノアは意図された救済について何も知らないようである。
実際に天の定めが来た、自然の定めと進化の法則、地球はその人種を変えなければならない、第四人種は、より良い人種のための余地を与えるために破壊されるべきであった。マンヴァンタラは第三周期半の転機に達し、物理的に巨大な人類は、まぎれもなく物質性の最盛期に達した。
それゆえに、黙示録の韻文は、彼らが滅ぼされるかもしれないことを前提として戒めであり、“これが彼らの(人種の)終わりかもしれない”とする語りである、彼らは真に“天使達のすべての秘密、サタン達のすべての非道な秘密の在力、妖術をかける者の在力、同じように地球全体に鋳象(複数)を作る者の在力”を本当に知っていたからである。
さて、これは自然な質問である。地球が時折軸を傾けることがあるという、この強烈な光景(ガリレオの時代以前に割り当て可能な、いかなる年代でも)を聖書外典の著者に伝えることができたのは誰だったのだろうか? 古代の賢者たちとピタゴラスが心酔していた秘密の智慧が、後の年代の作り話であるとすれば、どうして彼はそのような天文学的および地質学的知識を導き出したのだろうか?
脚注 ———————————————
* 哲学年報(393頁)における、デ・サシ記載のダニエロの批判を参照。
つづく。
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☆個人的に興味があった章の一部のみの記載です、素人の抄訳で誤訳もあるかと思います、不明な箇所は原著の頁を御覧ください。
☆原書として、Theosophical University Press版 【 The Secret Doctrine Vol.2 , Isis Unveiled Vol. 2】を参照しました。