H.P.B.著作の和訳を試みる & 関連の話題 blog

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー (1831年 – 1891年) は、近代神智学を創唱しました。・・・主に彼女の代表作である「シークレット・ドクトリン」の和訳を試みています。

【秘密教義のオカルティズム】 — 8章「エノク書」、エノクについて・・・その1 

 <原書・初版1897年発行>

     ーー「エノク書キリスト教の源泉と基礎ーー

 

 シークレット・ドクトリンの第3巻だといわれている「シークレット・ドクトリンのオカルティズム」の前書きで、アニー・ベサントは次のように記していたー

   H.P.Bから私に与えられた原稿を、それぞれ別々の章として取り上げ、可能な限り順番に並べている。文法上の誤りの訂正と明らかな非英語的な慣用句を除いた以外、原稿はH.P.Bのものである。 それ以外の記述箇所はマークを付けて保存してほしい。いくつかのケースで、私が補った箇所があるが、そのような追加は[角括弧]で囲まれ、テキスト本文と区別できるようにした。・・・これらは秘密教義の第3巻の一部として出版するために私の手に渡された・・・この巻はH.P.Bによって残された論文を完成させる。・・・ 

 

      シークレット・ドクトリンのオカルティズム

            (第3巻) ― 8章

                     H.P.ブラヴァツキー 原著

                                                        アニー・ベサント   編著

                                        Aquamarith (ハテナ・名)    訳 

第8章

 「エノク書キリスト教の源泉と基礎

 「エノク書」とキリスト教

  エノクは諸人種を記している

  象徴的「エノク書

  オカルティストは、「聖書」を拒まない

 

 ◎「エノク書」はキリスト教の源泉と基礎

 シナゴーグユダヤ教礼拝堂)やユダヤ教は、「メルカヴァー」を大いに用いるが、「エノク書」は拒んだ、その理由は「ヘブライ聖典」に、最初から含まれていなかった、あるいはテルトゥリアヌスが考えたように、

 キリスト (救世主) について語る他の全聖典と同じくユダヤ人によって認められなかったからであろう。*(1)

 

 しかしこれらの理由はいずれも正しくはなかった。なぜなら、「エノク書」が単なる純粋なカバラの書というよりも、むしろ魔術と深く関係するものだったからである、サンヘドリン(ユダヤ議会)は関係ないであろう。今日、ラテン教会、プロテスタント教会各宗派の神学者は、「エノク書」を偽典として分類する。それにもかかわらず新約聖書の、特に使徒行伝および書簡には「エノク書」の思想と教義が多く含まれていて、いまもその教えは無修正でローマ教会、その他の諸教会から受け入れられ認められており、「エノク書」から文章全体を丸ごと取りいれている。エチオピア語の文書の訳者であるローレンス司教の主張によれば、この書の著者は、「偽エノク」の名でアラム語、またはシリア-カルデア語で執筆していた。

 

 その剽窃ぶりが非常に目立った為、ローレンス司教の翻訳の編集者であった「キリスト教の進化論」の著者が彼の書の序章で、珍しく示唆的な発言をすることを強いられた。記載された証拠により*(2)、この書(エノク書)が、キリスト教時代より前(2世紀でも20世紀でも構わない)に書かれたとわかった。 正しくは編者が主張したように、それは、

 

 偉大なるヘブライ人預言者が、奇跡的な正確さをもって、ナザレのイエスの来るべき教えを予言したのだろうか、王権裁判で「人の子たち」が勝利の帰還をして、永遠の幸福や永遠の炎を期待した歓喜する聖人や、震える罪人たちがいる最中に王座を占めるという、彼の概念を使ったセム族のロマンスなのだろうか。

 そしてこれらの天上界の幻が人間として神として受け入れられるかどうかにかかわらず、彼らが人類の運命に対する膨大な影響を2000年近くにわたって及ぼしてきたことから、宗教的真実に率直であり公平な求道者たちは、これ以上、エノク書キリスト教の啓示および進化の関係について問いただすことを遅らせることはできないのである。*(3)

 

脚注 ———————————————

*(1)「エノク書」、大司教ローレンスの翻訳書、序章 p5。

*(2) エチオピアエノク書の僅かな写本をブルースがアビシニアで見つけるまで、この書は1000年の間ヨーロッパに知られていなかった、そして1821年にボドリアン図書館(オックスフォード)の文書から、大司教ローレンスにより翻訳された。

*(3) 前掲書、p20

 

つづく。

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 ☆シークレット・ドクトリン(SD)第三巻の和訳が文芸社(加藤大典訳)から出版されていたので先日購入しました、この翻訳書の全部は読んではいないのですが、それぞれの内容が章ごとに構成されているので、順序通りに読まなくても良いかもしれません。

 英文科卒であるとか、海外留学や海外在住などの経験は全くありませんが、ブラヴァツキー夫人の著作が読みたいがために日本語訳にチャレンジしています、今回なんとなく気になった章から、原書と加藤氏の翻訳書も参考にして訳しました。

加藤氏(1933生まれだそうです)の訳書を参考にすることで、誤った解釈等に気づいたりと、大変勉強になりました、本当に有難く思います。

 

 ☆原書として、Kessinger Pub Co【Occultism Of The Secret Doctrine】 を参照しました。 

 ☆シークレット・ドクトリン第三巻 加藤大典訳 文芸社 を参照しました。

Occultism Of The Secret Doctrine

Occultism Of The Secret Doctrine

  • 作者: Helena Petrovna Blavatsky
  • 出版社/メーカー: Kessinger Pub Co
  • 発売日: 2004/05/30
  • メディア: ペーパーバック
 

 

シークレット・ドクトリン 第三巻(上) ――科学、宗教、哲学の統合――

シークレット・ドクトリン 第三巻(上) ――科学、宗教、哲学の統合――

  • 作者: 原著者:H・P・ブラヴァツキー編著者:アニー・ベサント訳者:加藤大
  • 出版社/メーカー: 文芸社
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 文庫
 

 

 ☆このシークレット・ドクトリン第3巻の第8章−その1〜その5は、2017年1月に書いたSNS(mixi)日記を編集・修正してこちらにまとめたものです。